血圧は様々な要因で変動があることは前回の記事で説明しました
その中で、要因は1つではなく複数の要因が重なっている事が多いと書いたと思います
今回は、日常生活を送っていくうえで、どのような場面や生活状況で血圧があがりやすいかを5つ挙げて、それぞれを詳しく解説していきます
結論
血圧が上がりやすい生活習慣として、以下の5点が挙げられています
- 塩分の摂りすぎ
- ストレスが多い生活
- アルコールと喫煙
- 肥満
- 運動不足
自分が当てはまりそうな点を意識し、修正していくことで血圧が上がることをコントロール出来ると思います
次は具体的にはどうしていけば良いのかをみていきます
日常生活でどのように注意するのか
それぞれの項目について、どのように意識していけば良いのかをガイドラインなどを参考にしながらまとめていきます
塩分の摂りすぎ
“高血圧予防≒塩分を控えましょう(塩を減らしましょう)”
「減塩」というのは、高血圧対策として大抵の方が最初に思い浮かぶことではないでしょうか
それくらい、日本人にとっては常識として考えられていますよね
ガイドラインでは、高血圧の人の目標として、1日6g未満が掲げられており、これによる有効な降圧効果も得られています
そして、その時の注意点として…
「急に減塩を厳しくすると体調の変化もきたしやすいので、少しずつ減らす」ということです
このメカニズムについてですが、未だ確立していないと認識しており、正直、私も断定しては言えませんので、自分なりに調べた結果ですが…
食塩(ナトリウム)を摂りすぎることで、血液のナトリウム濃度が高くなり、その濃度を薄めるために、のどが渇き水分を摂ることで、血液量が増え、血管壁の圧が高くなったり、腎臓への負担が増えたり(塩分や水分を排泄・排泄が十分に行えなくなる)、そもそもナトリウム摂取により交感神経(血管を収縮させる働き)が緊張したりする為、高血圧になると思われます
高血圧状態が続くと血管はいつも張りつめた状態となり、次第に厚く・硬くなってしまい、これが、高血圧による動脈硬化となります
動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞などの原因となったり、心臓に無理な負担をかけることにもなります
その為、高血圧症となる前から減塩に注意していくことも、自分の将来の為に大事だと思います
参考として、令和元年(2019年)国民健康・栄養調査の結果からは以下の事が発表されています
- 食塩摂取量の平均値は1日当たり 10.1g (男性 10.9 g、女性 9.3 g)
- 男性では有意に減少
- 女性では平成 21~27 年は有意に減少、平成 27~令和元年は有意な増減はみられていない
- 年齢階級別にみると、男女とも 60 歳代で最も高い
具体的にどうすれば良いんだろう、何を意識すれば良いんだろう
具体的な減塩方法については、以下の2点を挙げます
- 日本高血圧学会による“減塩・栄養委員会の減塩に対する取り組み”というホームページがありますので、こちらを参考にしながら、気になる本やメディア情報などと結びつけてみ下さい
- 普段の食製品での確認方法として、2015年3月に食品表示基準が制定され、食品の栄養成分表示は2020年までには原則として「ナトリウム→食塩相当量」に表示変更されていますので、実際に商品の栄養成分表示を見て、確認してみて下さい
ストレスが多い生活
- 心理的または社会的ストレスは、高血圧発症は2倍になると言われています
- 精神的ストレスは、血圧コントロールをつかさどる自律神経に悪影響を与えてしまいます
- 職場や仕事中のように緊張状態が持続する環境下では、一時的に血圧が上がりやすく、それを放置していると将来において高血圧に進行する可能性が高くなります
- ストレスが溜まると、飲酒や喫煙が増える恐れがあります
このような心身のストレスは、その時だけでなく将来にも大きく影響を及ぼします
リラックスを高める方法として…
睡眠の質を高める、入浴、ヨガ、瞑想、可能ならいったん仕事の手を休めて深呼吸や散歩などを行う などがあり、どれもそれほど難しくなく始めることが出来そうですよね
アルコールと喫煙
アルコールを飲んだ後は一時的には血流をよくし、血圧を下げる効果もみられますが、飲みすぎると高血圧の原因になります
また多量のアルコール摂取は脳卒中や心疾患、睡眠時無呼吸症候群の原因となります
適度な飲酒が難しい場合、一度摂取すると多量になってしまう人は、飲酒を控える日を作りましょう
一方で、少量のアルコール摂取量と心筋梗塞や脳梗塞(虚血性脳卒中)のリスクの関係性を示している研究もあります
ガイドラインによる目標の数値としては、男性20~30ml/日以下 女性10~20ml/日以下になります
アルコール 20~30ml は、日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎0.5合、ウィスキー・ブランデーはダブルで1杯、ワインは2杯とされています
喫煙についても、血圧が上昇したり、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や脳卒中の原因となることがわかってるだけでなく、メタボリックシンドロームの重要な危険因子でもあったり、本人だけでなく周囲の人達も巻き込んでしまいます(受動喫煙)
参考として、令和元年(2019年)国民健康・栄養調査結果からは以下の事が発表されています
- 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の割合は、男性 14.9%、女性 9.1%です
- 平成 22 年からの推移でみると、男性では有意な増減はなく、女性では有意に増加しています
- 年齢階級別にみると、その割合は男性では 40 歳代(21.0%)、女性では 50 歳代(16.8%)です
- 「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者」とは、1日当たりの純アルコール摂取量が男性で 40g 以上、女性 20g 以上の者をいいます
- 習慣的に喫煙している者の割合は 16.7%であり、男性 27.1%、女性 7.6%です
- この10 年間でみると、いずれも有意に減少しています
- 年齢階級別にみると、30~60 歳代男性ではその割合が高く、3割を超えています
- たばこをやめたいと思う者の割合は 26.1%であり、男性 24.6%、女性 30.9%です
肥満
適正体重を維持することはとても大事です
BMIの正常範囲は18.5~25.0(kg/m2)で、肥満者はBMI 25.0未満を目指して減量をした方が良く、この数値を長期にわたって維持できることが大事になります
また、個人差はありますが、3~4kg減量すれば血圧の低下が期待できると言われています
肥満は高血圧だけでなく、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肝障害、腎障害など多くの病気の原因となります
参考として、令和元年(2019年)国民健康・栄養調査結果によると
- 肥満者(BMI≧25 kg/㎡)の割合は男性 33.0%、女性 22.3%
- この 10 年間でみると、女性では有意な増減はみられないが、男性では2013年~2019年の間に有意に増加しています
肥満に対しては運動と減塩、食事療法といった生活習慣全体を見直していく必要があります
運動によって適度な筋肉をつけ、身体活動量を高めていったり、減塩や食事療法によって、摂取エネルギーを減らしていく必要がありますが、無理な減量は体調を崩したり、リバウンドの原因となりますので要注意です
運動不足
高血圧含めて生活習慣病の予防や治療には、“有酸素・持久性・動的な運動”が推奨されています
そしてこれらの運動は降圧効果も期待でき、運動不足では血液の流れが悪くなり血圧があがりやすいという意見もあります
- 運動内容…速歩、スロージョギング、ランニングを中心として、レジスタンス(抵抗)運動やストレッチを組み合わせて行う
- 運動負荷…ややきつい程度に留めておきましょう
- 運動時間…定期的、出来れば毎日30分以上
これらは最初から行うことは大変なので、最初は軽い負荷や短時間から始めても良いと思います
まとめ
今回は、日常生活を送っていくうえで、どのような場面や生活状況で血圧があがりやすいかを5つ挙げて、それぞれを詳しく解説していきました
もちろんこれら以外にも入浴や疲れ、老化などたくさん挙げられます
ただ、皆さん、今回の内容って、どれも「そうだよな」「当たり前だよね」と思いませんでしたか
あえて難しいことに取り組まなくても血圧コントロールは出来るということですし、共通しているのは、心身に過度な負荷を加えない・規則正しい生活ということになります
今の自分の為に、未来の自分の為に 皆さんそれぞれ違うと思いますが出来ることから始めていきましょう
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